2017年産
募集馬近況レポート

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 日ごとに白銀の度合いを増していく名峰・日高山脈。氷点下の世界はそこで暮らす生き物たちに豊かな自然と澄んだ空気をもたらしてくれる。2019年、厳冬期を迎えた北海道浦河町・ビクトリーホースランチ。明け2歳を迎えたサラブレッドたちの瞳はどこまでも透き通り、キラキラと輝く未来だけを見つめていた。

「今年の募集馬たちは8月末頃から馴致をスタートして、早い馬だと馴致開始5日目から人を乗せてコースへ出ていました。良い意味でまったく印象に残らないほど、どの子も順調。今年は例年よりも積雪が遅かったこともあり、つい先日まで外周コースを使って長めを丹念に乗り込むことができましたからね。距離でいえば、1日1800m〜2000m。昨年よりも負荷をかけるペースは早くなっています。もともと基礎体力の高い世代ですが、さらに逞しさが増して、それぞれが自信をつけてきているな、と感じます」(ビクトリーホースランチ代表・荻野豊)

 数年前から放牧地の改良に着手し、当歳〜繁殖牝馬まですべての繋養馬の給餌内容を見直すなど大胆な方針転換を行ってきた同場。また、ハード面だけではなく、ソフトも充実させるべく、生産・育成を手がける現場スタッフの意識改革も進めてきた。 「もちろん、まだまだ上を目指していくべき段階ですが、少しずつ結果として表れてきました。クラブとして一番のファンサービスは出資馬の勝利ですからね。そこへ向けて、できることはすべてやっていこう、ということです」

 土が変われば牧草の栄養素も変わる。母が健康であれば胎児はスクスクと育ち、誕生後には良質なミルクをたっぷりと与えることができる。放牧地のデザインは大きく、ゆとりのある広さに変え、個々の運動量も格段に増えた。そうした改革と努力の積み重ねにより、希望は確信に変わり、揺るぎのない自信へ。2017年生まれのタイキレーシング募集馬ラインナップは現在9頭。ここからはデビューを目指して日々トレーニングに邁進している若駒たちをファームドクター・服巻茂之氏の短評を交えながら紹介しよう。(※文中「」内コメントはすべて荻野豊代表、『』内コメントはすべて服巻ドクター)


※募集各馬は、昨年12月からBTC(軽種馬育成調教センター)で坂路調教をスタートしており、今回の第1弾に加え、2月末更新予定のリポート第2弾では本格的なトレーニングに移行した各馬の成長ぶり、具体的なプランニングについてお伝えしていく。

グッドイヴニングの17年産

 bP グッドイヴニングの17(♂、4月1日生まれ、父メイショウボーラー、母の父コマンズ、美浦・高木登厩舎予定)は、幼い頃から元気ハツラツなやんちゃ坊主≠セった。母の初仔ながら馬格に恵まれ、パワフルで自信満々。その見栄えの良さは、母の種付けに帯同した際、同業者に血統を訊ねられたほどだ。離乳後は放牧地で同世代を追いかけ回し、たとえ逃げられても諦めない。これでもか、としつこいくらいに追うものだから、放牧地から帰ってくると、その体はいつも小傷だらけであった。しかし、そんな豪快な見た目とは裏腹に脚の運びはいつもしなやかで繊細だった。

「顔や姿かたち、キャンターの動きなどは母そっくり。でも、ガンガン攻めていくような性格は父メイショウボーラー譲りでしょうね。トレーニングに移行してからも前向きさは変わらず、気持ちがどんどん乗ってきます。持って生まれたスピードがありますし、早期デビューを可能にする体質の強さもある。1月、2月には速い時計をバンバン出して、4〜5月に入厩、6月デビューのプランを考えています」

 幼少期の豊富な運動量がタフな馬体を作りあげ、母から受け継いだしなやかな筋肉が動きに躍動を与えている。現状メニューのゆったりとしたキャンター運動でも一段上の存在感。服巻ドクターの評も『胴回りがしっかりとしており、ボリューム感が凄くある。胸深い肩とトモの大きな好馬体』と、可能性を予見している。

「距離はマイル位までかもしれない。デビューの地はこの馬の適性を生かす舞台になるでしょう。ひょっとしたら、ひょっとするよ」
スタッフ泣かせのやんちゃ坊主≠ヘ、いつしか同世代を引っ張るリーダー的な存在へ。2019年春、一番バッターを務めるのはこの馬かもしれない。

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タイキエイワンの17年産

 bQ タイキエイワンの17(♂、3月22日生まれ、父スピルバーグ、母の父フサイチコンコルド、栗東・大久保龍志厩舎予定)は、同場で一、二といわれるほど気の強い母に見守られて、好き嫌いのハッキリとした唯我独尊タイプ(?)のサラブレッドに成長した。芝で3勝を挙げた母は元来、気性の激しい面があり、放牧地においては向かうところ敵なし。そんな母を見て育つのだから、弱気な子に育つはずもなく、歴代の産駒に共通するのは「大の負けず嫌い」。集団の中で迷わずトップを狙いにいくボスキャラ血統だ。

「母は気が強いだけではなく、賢くて利発。この子の場合も集団の悪ふざけに巻き込まれることなく、少し離れた場所から傍観しているようなところがありましたね。自分が遊びたくないタイミングで他の子に近寄ってこられると威嚇して追い払うこともしょっちゅう。いつも無敵でした(笑)。この母系で大人しい馬は走りませんからね、うるさいくらいで丁度いいでしょう」

 気持ちの強さに負けないくらい体幹が強く、生まれた時から四肢のバランスが良かったという本馬。誕生して間もなく1トライでスッと立ち上がることができたというエピソードも資質の高さを物語っている。服巻ドクターの評はずばり『頭が軽く、胴伸びが目立つ。トップラインのキレイな馬』。現状は抜群の運動神経をもつ中性的な男子のイメージも「春先には無骨さが出て、水泳選手のようになる」(荻野)というのがこの母系をずっと見てきたプロの見立てだ。

 父はディープインパクトの血をもつ種牡馬の中でもとくに馬格に恵まれ、華やかな血統背景をもつスピルバーグ。2014年の天皇賞・秋、勝利の瞬間を競馬場で見つめた荻野代表はその走りと姿に惚れ込み、「種牡馬入りしたら必ず配合しよう」と心に決めたという。そして、供用初年度の相手として選んだのが、走り頃の3番子≠宿す予定となっていたタイキエイワン。もちろん誰でも良かったわけではなく、「母系がスピードを伝えてくれることはわかっていたので、長い距離を走り抜けられることを意識した」というのが配合の決め手だ。クラブゆかりの血統馬の最高傑作を求めた結果が、本馬だったのである。

 生まれ持った好バランスはこれまで一度も崩れたことがなく、キャンターの動きは馴致直後からTheスピーディ。BTC調教に入って速い時計を出すようになれば、さらに伸びのあるフットワークを見せてくれることだろう。

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タイキキララの17年産

 bR タイキキララの17(♂、2月28日生まれ、父グランプリボス、母の父キングヘイロー、美浦・菊沢隆徳厩舎予定)は骨量があり、体全体に重厚な筋肉をまとったグッドルッキングホースだ。一見するとパワー型のように映るが、キャンターの動きはしなやかで脚の運びも柔らか。

「首をぐっと下げて、いつも前向きさが伝わってくる走り。幼い頃から走ることが大好きで、いつも仲間を誘っては放牧地を駆け回っていた子ですから、そのイメージのまま大人になった感じですね。見てのとおり脚の節が太く、しっかりと大地を踏み込めるのが強みです。それに、バランスの良さ、可動域の広さ。動かせば動かすほどアピールポイントが出てきます」

 母系のスピードを生かしてスペシャリストを送るべく、配合相手として選ばれたのがサクラバクシンオー直子のグランプリボスだった。早期デビューを可能にさせる完成度の高さと体質の強さは産駒に共通するところで、本馬も例に漏れない。

「節の太さ、見事な骨量。トレーニングに移動してからも風邪ひとつない丈夫な馬です。故障のこ≠フ字もない馬ですからね、バンバン行きますよ」ということで、目指すは初夏の競馬。前出のグッドイヴニング17同様、先発隊として4〜5月には入厩して一番星を狙っていく構えだ。服巻ドクターも『背中からトモのトップラインのシルエットが良く、素晴らしい馬体。脚長で胸深く、肩が大きく、品がある』と絶賛の素材。その行く末には一見の価値がありそうだ。

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タイキグラミーの17年産

 bSタイキグラミー17(♂、3月16日生まれ、父スピルバーグ、母の父フレンチデピュティ、栗東・西園正都厩舎予定)は、前出のタイキエイワン17の近親で、同じくスピルバーグの供用初年度産駒。類似点の多い同系配合となったが、母同士の性格があまり似ていないせいか、強気一辺倒のタイキエイワン17とは違い、本馬は同世代の中でものんびり屋≠ニして育ってきた。性格は真逆といってもいいほどだったが、互いの根底に流れる血が共鳴したのだろうか、同世代を蹴散らしながら育ったタイキエイワン17が珍しく気を許し、遊び相手として認めたのが本馬であった。

「2頭とも3月生まれで放牧のタイミングや離乳時期がほぼ同じだったこともあるのでしょうね。治療などでどちらかの放牧時間が遅れると、鳴いて互いに呼び合うこともありました」

2頭で過ごす時間が長くなるにつれて、もともとのんびり屋≠セったはずのタイキグラミー17にも徐々に強気な一面が見られるようになる。それが母系の血によるものか、それともスピルバーグの血が影響したものかは判別不可能だが、母の2番仔として誕生した本馬の素材に関しては服巻ドクターが『キリッとした力強さがあり、かなり伸びのあるキレイな好馬体』と太鼓判を押してくれている。

 フレンチデピュティ×ディープインパクトの相性の良さは言わずもがな。それに、母系はミスタープロスペクターのクロスで成功例が多く、この2つの要素を兼ね備えていたのがスピルバーグだったのである。

「同じ父の産駒でもタイキエイワン17とはタイプが違って、こちらの方がフレンチデピュティ寄りの体型。トレーニングを進めていって、どれだけ手先が軽くなってくるかを見ています。ここまでは思い描いたとおりの曲線で成長してきてくれていますし、曾祖母リンクスオブゴールドからなる母系には底力がありますからね。そこにスピルバーグの血が加わり、どういう変化、可能性を見せてくれるのか。ワクワクします」

 どの路線を歩むべきか。春を迎えた頃、具体的なプランニングが発表されることになる。

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マロノヴィーナスの17年産

 華麗なるファミリーにまた1頭、キラリと輝く才能が誕生した。bTマロノヴィーナス17(♂、3月14日生まれ、父ダンカーク、母の父タニノギムレット、美浦・伊藤圭三厩舎予定)は、近親にマリアライト(16年最優秀4歳以上牝馬)やアロンダイト(06年最優秀ダートホース)を擁する超一流の血統背景をもち、今や門外不出の血ともいわれている。父は13年北米リーディングサイアーのダンカークで、16年生まれの兄タイキウォレスとは完全同配合となった。

「当場では通常、同じ種牡馬を2年連続で配合することはないので例外的なケースです。兄タイキウォレスは生まれた時からバランスが良く、躯体がしっかりした子でダンカークの特徴が良く出ていました。本馬の場合は見た目から母系の影響を感じさせますし、サンデー系らしい動きの柔らかさ、素軽さがあります。そこにダンカークらしい骨太さも兼ね備えている。母と父の特徴がとても良いバランスで出ていると思います」

 これまで何かとお騒がせな(?)お産が多かった母マロノヴィーナスだが、本馬を産んだ時は見守ったスタッフが拍子抜けするほどの安産だった。生まれた仔馬は膝下が長く、バランスの良いキレイな男の子。放牧地ではいつ見てもタイキキララ17と2頭で駆け回っており、どちらかといえば悪ガキタイプ≠ナもあった。服巻ドクターの評『首が太くて力強い。胴長で品のある好馬体』は育った環境と血統の相乗効果によるものだろう。

「体力があり余っている感じで、いつまでも走っているような子供時代でした。その頃からしっかりと鍛えられたのでしょうね、安定感のある背中やフットワークの力強さは一朝一夕で出来るものではありません。動きに関しては言うことなし。固すぎず、柔らかすぎない体操選手のようなしなやかな筋肉は持って生まれた才能。羽ばたきますよ」

 もっと速く、力いっぱい駆け抜ける日を夢見て。雪融けの春が待ち遠しいマロノヴィーナス17であった。

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アッシュベリーの17年産

 王道を目指す先に待つものは。bUアッシュベリー17(♀、5月27日生まれ、父キズナ、母の父Any Given Saturday、栗東・牧浦充徳厩舎予定)は、この血脈では久しぶりにサンデーサイレンス系との配合となった。スタミナ豊富で産駒にパワーを伝える母に日本ダービー馬キズナを配して、スピードと瞬発力をプラス。母の4番仔は四肢のバランスに優れ、生後30分も経たずに立ち上がった元気印の女の子だ。

「1歳の春頃までオスもメスも一緒に放牧しているのですが、この子の運動量は体力のあるオスと比べても同等かそれ以上でした。心臓がめちゃくちゃ強い。遅生まれを感じさせないスタミナを持っていますよ。兄タイキフェルヴール(3勝)もそうですが、この血統に共通するのは一見すると頼りなげにも見えるトモやお尻のかたち。しかし、これが成長して力をつけると、大きなパワーの源となるのです」

他の同世代と比べると体のサイズはまだまだコンパクトだが、10月から11月までの1ヵ月で体重は11キロ増。直近の服巻ドクターの評でも『首つきが良くなり、キ甲が伸びて大きくなった。頭は軽く、脚長で胴回りボリュームある馬体』と確かな成長力を伝えている。

「この子は兄姉のイメージではなく、ディープインパクト産駒の牝馬として見るとしっくりきます。全体のフォルムやバランスはまさにそれです。だから、この先も極端に大きなサイズにはなりませんし、ならなくていい。現状メニューでも動かせばキレッキレ。さらに成長し、力をつけた先には大きな舞台が待っているでしょう」

 じつは本馬、すでに秋デビューからクラシックを目指していくプランが内定済み。焦らず、じっくりとエネルギーを溜め込んで、来るべき時に爆発させるのみだ。

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タイキソレイユの17年産

 「父と母の遺伝子を受け継いだ、標本のような馬。気が良く、動き抜群。気になるところは何もありません」

 荻野代表の目線の先にいたのはbVタイキソレイユの17(♀、4月8日生まれ、父エイシンフラッシュ、母の父フジキセキ、栗東・高野友和厩舎予定)。縦列トレーニングの中団で全身を弾ませて、前へ、前へ。スパンッ、スパンッと後方に飛び散る砂粒の量が本馬の蹴りの強さを証明している。OP級の能力を秘め、JRAで3勝した母が送る2番仔は、その漆黒の馬体からただならぬオーラを放っていた。

「初仔のイルフェソレイユは母父フジキセキの影響を感じる体型でしたが、この子の場合はエイシンフラッシュ寄りの屈強なボディ。動きの素軽さやマイペースな性格は姉と共通するところです。母は現役時代から繊細で気難しい面をもっていましたが、この子は人に対して従順で素直。人懐っこいのでスタッフとの距離が近く、アイドル的な存在でした」

 母譲りの美形で、周囲の変化に動じないどっしりとした内面の持ち主。幼い頃、放牧地で同世代がバタバタと暴れていても、知らん顔でやり過ごしただけのことはある。ただ、筋肉が浮き上がって黒光りしている馬体はアイドルのイメージとは真逆なのだけれど……。

「トレーニングを積むにつれてトモ幅が出て、♂顔負けのボリュームが出てきましたからね。可愛らしさは格好良さに変わりました。馬混みを苦にせず、蹴散らして抜け出してくるだけのスタミナとパワーを持っていますよ」

 母系にサンデーサイレンス系の血が入っているため、スピード因子の遺伝は間違いのないところ。スタミナと日本の馬場への適性を考慮して選ばれた父エイシンフラッシュの血が、本馬の体内で覚醒しはじめたところだ。成長に伴い、服巻ドクターの評も『バランスが良く、大きくフックラと肉付き◎。群れの中で強い。胴回りしっかりしてトモが大きい』と上昇一途。「何も心配ない」。その一語に尽きるタイキソレイユ17なのであった。

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タイキトゥインクルの17年産

 前出のタイキソレイユ17にとっては叔母にあたる同世代、それがbWタイキトゥインクルの17(♀、4月3日生まれ、父ヴィクトワールピサ、母の父リアルシャダイ、栗東・大竹正博厩舎)である。母はJRAで4勝を挙げ、ヒットジャポット(5勝)やタイキソレイユ(3勝)、エイシンフェアリー(2勝)を送った当クラブの看板繁殖牝馬。父にヴィクトワールピサを迎え、母のラストクロップとして誕生したのが本馬だった。

「16年のお産を最後に引退と決めていたので、タイキソレイユ以来となる久々の女の子を生んでくれたことに感謝の気持ちでいっぱいでした。出産も子育ても上手で、本当に頭の良い繁殖牝馬。最後のお産もスタッフは母親のちょっとしたケアを行うだけで、あとはトゥインクルに任せておけば大丈夫でした。本来のお産というのはこういうものだ、と彼女が教えてくれたような気がします」

 17年当時すでに21歳となっていた母は、若い繁殖牝馬たちにも負けない乳量を誇り、絶えず栄養たっぷりのミルクを与えてくれた。厳しくも大切に愛しまれ、仔馬はスクスクと成長。あっという間にオスと見分けがつかないほどの背の高さになり、放牧地を駆け回る日々の中で、基礎体力を高めていった。

「同世代の群れの中でとにかく元気に走っていました。そのわりにはケガをして帰ってくることはなく、手がかからない子でしたね。母から大柄な体型を受け継いで、バランスの良さやルックスは父譲り。大人びていながら早熟感はなく、今後さらにトレーニングが進んでいけば、さらに見栄えのする競走馬になると確信しています」

 服巻ドクターの評『首つきキレイ。前駆が勝っている。伸びのある好馬体。脚長で胸深く、トモが大きい』からも、本馬のアピールポイントが馬体全体に及んでいることがわかる。走っている姿は安定感抜群。名牝の後継としてこの先、長きに渡って大きな夢を見せてくれそうだ。

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フロレンティナの17年産

 注目の追加募集となったbXフロレンティナの17(♂、2月20日生まれ、父トゥザグローリー、母の父クロフネ、美浦・菊沢隆徳厩舎予定)は、サマーセール上場予定馬に入っていたが、セリ前日の放牧中にケガを負ってしまったことから欠場。その後の成長課程には何の問題もなかったため、晴れてクラブ募集の運びとなった。このエピソードだけを聞くと心配されるかもしれないが、実際のところセリ欠場の最大の理由は「素材が良いだけに、軽傷のせいでマイナス評価をされるのが嫌だった」から。上場に際して興味を示してくれたオーナーが複数名いたのだが、ベストの状態で送り出せないのならやめよう、という結論だったのである。

「体高があって、幅もある。当歳の頃からどこに出しても恥ずかしくない出来栄えの子でした。もともと母系とキングカメハメハの相性が良く、サンデーサイレンス系の血を併せ持つトゥザグローリーとの配合がハマりましたね。生まれながらに美しい流線型の馬体。幼い頃からしつこいくらいに同世代を追いかけ回していましたので、体力も圧倒的にありますよ」

 じつは本馬、セリ前に菊沢師も興味を示しており、欠場を知った師からすぐに連絡が入り、トントン拍子でクラブ募集&菊沢厩舎所属が決まった経緯がある。同厩舎といえば、母父クロフネと相性抜群。まさに棚からボタ餅のラインナップ入りとなった。

1月現在の馬体重は496キロで、馬格は募集馬の中でも最上位ランク。この馬の成長をずっと見てきた服巻ドクターの評でも『コンディションがかなり良くなった。頭が軽く、目が鋭い。首が太く、胴回りボリュームあり。肩とトモはかなり大きい』と頼もしい言葉が並んだ。馬見のプロたちがこぞって将来性を見込む素材。春を待たずにその片鱗を見せてくれることになりそうだ。

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